プロジェクトストーリー #02

風力発電チーム:能代山本広域風力建設プロジェクト

日本だけでなく世界中で大規模な建設が進んでいる風力発電タワー。脱炭素、再生可能エネルギーが注目される中、ここ秋田県は風や地形に恵まれ、全国でもトップレベルの建設ラッシュが続いています。

私たち能代電設工業には、風車タワーの基礎接地工事からタワー内のケーブリングやメンテナンスまでを手掛ける専門のチームがあります。その技術力は社外から高く評価を受けており、数年先まで予定はびっしりと埋まり、本チームは忙しい日々を送っています。

能代電設工業風力チーム集結に至る経緯、課題となった技術の習得、やりがいなどを聞きました。

能代電設工業 風力チーム結成まで

ここには、能代電設工業の風力発電に関わる風力チームに集まって頂きました。風力チームが結成され1年ほどが経ちますが、それ以前は皆さんどのような形で風力発電業務に関わっていたのでしょう?

三島:私はこのチーム結成以前から風車タワーの建設に携わっていましたが、風車本体ではなく、最初は基礎接地工事が主なものでした。

基礎接地工事というのはどのようなものですか?

三島:風車タワーを地面に建てるための土台の部分ですね。風車は構造上、雷が落ちやすいものでもあるので、いざ雷が落ちた場合にも風車タワー本体のダメージを最小限にするための対策を施す工事です。

** 風車タワーの基礎部分

三島:当時私は別の課に所属しており、風車タワーの基礎接地工事はイレギュラー業務として時おり呼ばれる程度でした。その後、能代沖の風車タワー建設ラッシュを迎え、当社もタワー内の工事を受注することができ、専門のチームを作ることになったという経緯です。私自身も風車タワー本体は未経験でしたが、入社後から必要な資格は取得していましたので、志願してやらせてもらうことになりました。

これが能代電設工業の風車チームの第一歩ですね。他のみなさんのチーム参画も教えてください。

:私はその頃、火力部に所属をしていました。もともと入社するときにも「風力発電に関わる仕事がしたい」と話していたこともあってか、当時の上司も推薦してくれてこのタイミングで風力チームに移籍することになりました。

袴田:私も同じく別のチームに所属していましたが、たびたび風力発電の現場にヘルプで呼ばれることがあって、1日で終わる時もあれば1週間かかることもあり、徐々に日数が増えてきて、気がついたら風力チームに所属していました(笑)

大越:私も孫さんと同じく、風力発電に携わる仕事がしたいと希望して入社しました。最初は基礎接地の工事で文字通り工事の”基礎”を学び、半年経った頃に念願叶ってチームに所属させてもらうことになりました。

チームの救世主

その後、能代沖の風車建設がラッシュを迎え、チームは一気に忙しくなります。ただし工事を請け負うにあたって、風車メーカーのスーパーバイザーによる厳しい認定を受ける必要がありましたね。

三島:はい、技術の習得には自信もあったので大丈夫だろうと思っていたのですが、困ったことにスーパーバイザーは英語しか話さないということを聞いたとき、英語力で不安になりました。ヒアリングなら何とかできますが、テクニカルなことを質問もしたいし、正しい習得もしたい。さて、どうしよう…と。

袴田:救世主がすぐ近くにいたんですよね。「孫さんに通訳してもらおう!」って(笑)

三島:孫さんは韓国の出身ですが、韓国語、日本語だけでなく英語も堪能です。あの時はチーム内に「孫さんがいるから僕らできるね!」と、不安が一気に消え去ったような感じがしました。

**写真中央:孫 暎珍

:少しだけですよ。私は英語ペラペラではないし、スーパーバイザーの人たちもあえて簡単な英語で話してくれていましたから。

孫さん、謙遜しないでください。側から見ている私でもわかりますが、孫さんは日常会話から技術的な対話まで、完璧にスーパーバイザーと能代電設チームの架け橋になっていましたよね。

三島:もともとこの外国人スーパーバイザーから指導を受けることになったときに、モバイル翻訳機も支給されていたのですが、翻訳機を介した会話って、やっぱりテンポ感が悪いんです。あれを使ってたら私たちの技術習得はもっともっと遅くなっていたと思います。

袴田:孫さんがいてくれたからスムーズな学習ができたのは事実ですね。慣れて行く中で、徐々に孫さんの通訳なしでも意思疎通ができるようになってきましたが、大切なところには必ず孫さんに一緒にいてもらいました。教わるために1つのタワーの中に全員が集まって、狭い空間の中で全員が「学ぶこと」に必死になって。大変だったけど、あれがなければ今もないので、本当にいい経験ができたと思います。

:私が役立ったとすると、スーパーバイザーの人たちの英語のニュアンスを伝えられたことかなと思います。会話では大雑把に聞こえても、表情や語気などで違った受け取り方もするし、こちら側の伝え方も変わってくるので、言葉以外のところも翻訳しなくては、ということは意識しましたね。

短期間でハイレベルな技術習得

技術の習得をしながら、指定された期日までにタワーも仕上げないといけない。日程的にもタイトなスケジュールだったのではと想像します。1本のタワーを仕上げるのにどれくらいの時間がかかっていたのでしょう?

袴田:みんな未経験のチームだったから、最初は1本のタワーを仕上げるのにも2ヶ月〜3ヶ月くらいかかってしまう状況でした。

三島:こんなペースだと、全く工期には間に合いません。チームを率いる身としては、この時期がもっとも辛い時期でした。でも、焦って技術の習得時間を短縮しても意味がないし、そもそも無理です。ぐっと堪えて、確かな技術を身につけることに集中していました。

:あの時は不安でしたね。でも、その後は私たちもコツを掴んでかなりペースアップしたので、今は1本を3週間ほどで仕上げられるようになりました。

著しいスピードでチームが成長していった様子が伺えますが、その過程にはどのような策やチームワークがあったのでしょう。

三島:スーパーバイザーが一緒に指導してくれる期間は決まっていたので、私としては「彼らが去ったのち、どうやって能代電設工業チームで同じクオリティの作業をキープできるか」も当初から考えていました。

私が考えたのは、“何でもできる1人”を育てるのではなく、チームメンバーそれぞれが“特定の作業のスペシャリスト”という状態を作ることでした。スペシャリストになれば、特定の作業の安全とスピードを両立する「奥義」を考えることもできる。そうなればチーム内でその奥義を伝授しあって、品質を保ったまま次の技術が習得できるかと考えたわけです。そうやって今は、全員がほとんどの作業を行える、という状態にはなりました。

前職が塾講師であった三島さんならではの作戦ですね。それぞれに得意な科目を持たせて、お互いにコツを伝授しあう、と。

袴田:皆が未経験からスタートしたことが、逆にチームの結束力を高めることになったのかなとも思います。「誰かが一番」なトップダウンではないから、全員が「こうした方がいいんじゃないか」と意見も出しやすくて、それを全員で共有していった感じ。もちろん三島さんがリーダーなんだけど、関係性がすごくフラットなんです。

:チームになったばかりの時はよくスーパーバイザーを交えて食事会もしましたね。仕事以外でも時間を共有すると、相手の考え方も理解できるようになる。それが仕事にも良い効果をもたらしてくれたと思います。

**風車メーカーのスーパーバイザー(SV)と共にバーベキューをする能代電設チーム

三島:スーパーバイザーの人たちも僕らの意見を聞いてくれる柔軟さがあって、あれはまさにブレインストーミングをしている気分でした。経験に関わらずナイスアイディアは採用しよう!みたいな感じで。もちろん遵守するべきルールはしっかり守ったうえで、このチームらしさを作っていけました。

大越:私はスーパーバイザーの方々がいた時はまだ基礎接地の方の工事を担当しており、このチームには入っていませんでした、のちにチームに合流することができ、念願の風車タワー本体の業務にあたることができるようになりました。皆さんが先にこうしたチーム作りをしてくれていたおかげで、私自身も気負いすることなく技術習得ができているし、確かに効率よく学べているなと実感します。

チームメンバーだけが見られる「風景」

チーム作りは順調であることが、みなさんのお話しからも分かります。反対に、苦労や困ったことなどはありますか?

袴田:シンプルなところで言えば、夏はめちゃくちゃ暑いです!

全員:暑いよね….(笑)

袴田:夏は暑いし、冬は寒い。基本的に風車タワー内には空調がありませんからね。もちろん体力的にきついときもありますが、巨大な風車タワーを作り上げるという達成感も大きいので、一概にキツいだけとは思わないですね。

:私が一番頭を悩ませるのは、一通りの作業が終わったあと、チェックの段階で正しく動作しないときですね。100メートルほどあるタワーのどこかに不具合が発生していて、それを見つけてトラブルシュートしなきゃならない。タワー内の移動は基本的にハシゴだけで、一番下から一番上への移動も普通にありますから大変です。

** 建設中の風車タワー。こののち、能代電設チームが内部工事を手がける。

三島:資料を確認したり、開発元に確認しながら確認したりするけど、そもそも風車タワーが大きいので確認も簡単じゃない。だからチーム内で、さまざまなトラブルに対する知識と経験を高めて、対処を必ず毎日共有して、同じことが起きたときに素早く対応できるようにもしています。

大越:苦労もありますが、風車タワーの頂上から見る景色は本当に雄大で、美しいです。タワー内は基本的に撮影禁止なのでお見せできないのが残念ですが、写真や動画とは全く違う“私たちだけの風景”と言ってもいいんじゃないでしょうか。

風車メーカーのスーパーバイザーが帰国し、その後に能代電設工業チームだけですでに5本の風車タワーを完成させています。この仕事に対するやりがいについて教えてください。

:ずっと風力発電に興味があって、いつかこれに関わる仕事をしてみたいと思っていましたから、今こうして建設に携わることができるのがやりがいの1つです。肉体的にもきつい作業もありますが、今まさに最新鋭の物を作っているんだと考えると、なんだか自分がフロンティア(=開拓者)になっている気分にもなります。

大越:私も同じく風力発電に関わる仕事がしたいと思って入社しましたが、こうして自分が作業を行なったものが形として残るのが嬉しいですね。しかも、こんな大きなものですから。それから秋田県は今、風力発電事業に大きく力を入れている。そんなトップ事業に関われていることのやりがいもあります。

袴田:私たちの仕事って、基本的には「同じもの(=風車タワー)」を作り続けているわけです。だから、1本1本の建設を重ねるごとに明確に自分のスキルアップを体感するんですよ。エンジニアとしてこれは何よりの喜びだし、やりがいとも言えますね。それから、私は生まれもここ能代なので、地元貢献の思いも強くあります。

三島:みなさん良いことを言うから私の言えるところがほとんどなくなってしまいましたが(笑)別の視点から1つ。こうして私たちがチームになる以前まで、能代電設工業の中には風力チームはありませんでした。会社として風力発電の工事には携わっていましたが、電気工事チームや火力部チームのメンバーが単発の業務として受けていたんですね。その後、私たちがこうして集まったことで、会社として風力チームを新たに立ち上げることになり、その一員としてここにいられることに、私はやりがいを感じています。会社の新たな歴史の1つを刻んでいるような感覚です。

現在の風力チーム:左から石川、吉田、大越、孫、三島、袴田

こんな人に入ってきてほしい!

最後に、このチームにはどのような人材が入ってきてほしいですか?

三島:チームワークを楽しめる人、ですね。100メートル超のタワーの各所で専門分野を発揮した仕事をするわけなので、連携した作業がそのまま仕上がりの品質に関わります。ある部分が良くてもほかの部分がダメだったら風車タワーは成り立たないからです。協調性という言葉がもっとも必要な仕事ですね。我が強く自分の意見を貫きたい人には向かない仕事かもしれません。

経験者であることや、技術や資格を持っていることよりも協調性を優先しますか?

三島:どちらが優先、というのはないですね。もちろん経験がある方や、資格を持っている方は即戦力になってくれると思いますので大歓迎です。でも「チームで1つの仕事をすること」に達成感を感じる方なら未経験でもぜひ応募をして欲しいです。

現に私たちが全員、未経験からの入社ですからね。新しく来てくれる方が未経験でも、これまでに我々のチームが蓄積してきた技術や奥義を惜しみなく共有しますので、安心してください。


Outro

秋田県のみならず、日本、世界で盛り上がりを見せる風力発電。そんな中で未経験から技術を習得し、チームとして成長を続ける過程は、私たち能代電設工業にとっても新たな挑戦の1つでした。そこで生まれた絆とチームワークは、私たち能代電設工業が大切にしている「高品質な工事の提供」につながっていると自負します。

秋田県で活気を増す風力発電事業、私たちはこれからも力を注ぎ、成長を続けていきたいと考えます。1本1本の風車を建設するたびに、私たちの技術もチームも一歩ずつ前進を続けていきます。能代電設工業風力チームで働きたいと思う方は、採用ページより応募方法をご確認ください。

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